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【学会誌掲載】佐藤秀昭大阪大学准教授による小社刊行物関連の論文が掲載されました。
学会誌『社会経済史学』Vol.90,No.4 2025(2025年3月発売)の冒頭に論説として、佐藤秀昭先生(大阪大学准教授)の論文が掲載されました。「昭和恐慌期大阪府における商工業者の階層分析 「商工資産信用録」からみる商工業者の中階層化」が論文のタイトル。3頁~31頁まで書かれています。小社が刊行中の〈日本経済調査資料シーズ〉のうちシリーズ3やシリーズ6の復刻版『明治大正期 商工資産信用録』(大正4年~大正14年)と復刻版『昭和前期 商工信用録』(昭和6年、11年、15年)と関連していますが、佐藤論文では1925年(大正14)刊行の第26回と1932年(昭和7)刊行の第33回の『商工資産信用録』は、国会図書館のデジタルコレクションを使用しています。
はじめに
1 『商工資産信用録』の特徴と限界
2 正味身代と信用程度から見た商工業者
(1)第33回調査の概要と本稿における史料操作
(2)正味身代別にみた諸階層の定義
(3)正味身代別にみた商工業者の職業と地理的分布
(4)信用程度別にみた商工業者の分布
3 昭和恐慌が商工業者に与えた影響の階層別分布
(1)正味身代別にみた商工業者の中階層化
(2)職業別にみた商工業者の中階層化
(3)中階層の地理的分布の変化
おわりに
この論文は小社刊の阿部武司先生の『戦前期商工信用録解題』や『三十年之回顧』(明治大正期 商工資産信用録第Ⅰ期 第15巻 附録)を参照しています。
上記のように小社の【日本経済調査資料シリーズ】関連の具体的な活用例が見事に示されたわけですが、この資料集(商工業者の人名録)の更なる活用を期待して止みません。在庫はございますので途中まで所蔵している大学図書館や公共図書館においてはこれを機会に商工業者の人名録(レファレンス用)として揃えて頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
急いで補足しますと、原本の商工信用録類(『商工資産信用録』は商業興信所が刊行、『商工信用録』は東京興信所が刊行)は関東大震災で焼失したりと原本入手は極めて困難で貴重な資料となっています。その一例を示すと、〈シリーズ8〉で収載しましたが民間調査会社の帝国興信所刊が明治41年に刊行した第1回の『帝国信用録』が長い間幻の本として関係者の間で待たれていました。それが一昨年春に偶然発見され、〈シリーズ8〉の第1回配本収載には間に合わず、昨秋〈2024年〉刊行の第2回配本の6巻に収載できたことでした。原本を入手した帝国データバンク史料館の学芸員さんがその経緯を認めた一枚を第6巻の冒頭に挿入して復刻版を刊行することができました。関係者に感謝申し上げます。
もう一つ、この資料集には上記の論文でも触れていますが、この商工業者の人名録を読み解く「符号表」が付いています。正味身代(純資産)や信用程度を表す一覧表です。原本にはこの符号表が入っていますが、これが原本を入手した時に入っていなくて本文の商工業者の人名録を解読するのに不便を感じたことは研究者間からも出ていました。
そこで大阪大学名誉教授の阿部武司先生が自著『戦前期商工信用録解題―詳細とその活用法』で見事にこの問題を解明してくれました。年2回刊行されていた信用録は、今はほとんど揃わないのですが(国会図書館のデジタルコレクションでも年によってはないものがあります)、その上「符号表」もないものが多いのが実情です。現存する符号表(復刻版)を分析することにより年次にない「符号表」を類推によって割り出すことが可能であることを突き詰めた画期的な仕事を成し遂げました。これは今まで「符号表」がなくて不便を感じていた研究者や図書館人にとっては魔法の杖に等しい、貴重な仕事で役に立つ指針となったはずです。
原本入手が困難なことを考え、日本経済史がご専門の研究者、籠谷直人先生(元京都大学教授)と相談、3年くらいのスパンで復刻出版することにして今日に至っております。
また、符号表は配本毎に入れてあります。
復刻版『商工信用録』類は【日本経済調査資料シリーズ】の③④⑥⑦⑧で、6タイトル、69巻、その他の経済史資料集①②⑤を合わせると12タイトル、87巻になります。2008年11月の『明治大正期 商工資産信用録』刊行が始まりですから苦節17年になります。今後の刊行予定は2025年9月にシリーズ8の第3回配本(全5巻)、そのあとは『昭和前期 帝国信用録』全3回配本を予定しております。
さて、読者に利便性を図る意味で下記に、『社会経済史学』の表紙を含め3頁を抜粋したもの、『戦前期商工信用録—詳細とその活用法』の内容抜粋、『商工信用録』の符号表や『帝国信用録』の符号手引きそれに帝国データバンク史料館の学芸員さんご執筆による「『帝国信用録』(原本は帝国興信所刊)第1版復刻版刊行に寄せて」を掲げました。それらの資料をみるはこちら
http://www.crosscull.com/files/20240913202926.pdf
http://www.crosscull.com/files/20250502123911.pdf
http://www.crosscull.com/files/20250502124739.pdf
はじめに
1 『商工資産信用録』の特徴と限界
2 正味身代と信用程度から見た商工業者
(1)第33回調査の概要と本稿における史料操作
(2)正味身代別にみた諸階層の定義
(3)正味身代別にみた商工業者の職業と地理的分布
(4)信用程度別にみた商工業者の分布
3 昭和恐慌が商工業者に与えた影響の階層別分布
(1)正味身代別にみた商工業者の中階層化
(2)職業別にみた商工業者の中階層化
(3)中階層の地理的分布の変化
おわりに
この論文は小社刊の阿部武司先生の『戦前期商工信用録解題』や『三十年之回顧』(明治大正期 商工資産信用録第Ⅰ期 第15巻 附録)を参照しています。
上記のように小社の【日本経済調査資料シリーズ】関連の具体的な活用例が見事に示されたわけですが、この資料集(商工業者の人名録)の更なる活用を期待して止みません。在庫はございますので途中まで所蔵している大学図書館や公共図書館においてはこれを機会に商工業者の人名録(レファレンス用)として揃えて頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
急いで補足しますと、原本の商工信用録類(『商工資産信用録』は商業興信所が刊行、『商工信用録』は東京興信所が刊行)は関東大震災で焼失したりと原本入手は極めて困難で貴重な資料となっています。その一例を示すと、〈シリーズ8〉で収載しましたが民間調査会社の帝国興信所刊が明治41年に刊行した第1回の『帝国信用録』が長い間幻の本として関係者の間で待たれていました。それが一昨年春に偶然発見され、〈シリーズ8〉の第1回配本収載には間に合わず、昨秋〈2024年〉刊行の第2回配本の6巻に収載できたことでした。原本を入手した帝国データバンク史料館の学芸員さんがその経緯を認めた一枚を第6巻の冒頭に挿入して復刻版を刊行することができました。関係者に感謝申し上げます。
もう一つ、この資料集には上記の論文でも触れていますが、この商工業者の人名録を読み解く「符号表」が付いています。正味身代(純資産)や信用程度を表す一覧表です。原本にはこの符号表が入っていますが、これが原本を入手した時に入っていなくて本文の商工業者の人名録を解読するのに不便を感じたことは研究者間からも出ていました。
そこで大阪大学名誉教授の阿部武司先生が自著『戦前期商工信用録解題―詳細とその活用法』で見事にこの問題を解明してくれました。年2回刊行されていた信用録は、今はほとんど揃わないのですが(国会図書館のデジタルコレクションでも年によってはないものがあります)、その上「符号表」もないものが多いのが実情です。現存する符号表(復刻版)を分析することにより年次にない「符号表」を類推によって割り出すことが可能であることを突き詰めた画期的な仕事を成し遂げました。これは今まで「符号表」がなくて不便を感じていた研究者や図書館人にとっては魔法の杖に等しい、貴重な仕事で役に立つ指針となったはずです。
原本入手が困難なことを考え、日本経済史がご専門の研究者、籠谷直人先生(元京都大学教授)と相談、3年くらいのスパンで復刻出版することにして今日に至っております。
また、符号表は配本毎に入れてあります。
復刻版『商工信用録』類は【日本経済調査資料シリーズ】の③④⑥⑦⑧で、6タイトル、69巻、その他の経済史資料集①②⑤を合わせると12タイトル、87巻になります。2008年11月の『明治大正期 商工資産信用録』刊行が始まりですから苦節17年になります。今後の刊行予定は2025年9月にシリーズ8の第3回配本(全5巻)、そのあとは『昭和前期 帝国信用録』全3回配本を予定しております。
さて、読者に利便性を図る意味で下記に、『社会経済史学』の表紙を含め3頁を抜粋したもの、『戦前期商工信用録—詳細とその活用法』の内容抜粋、『商工信用録』の符号表や『帝国信用録』の符号手引きそれに帝国データバンク史料館の学芸員さんご執筆による「『帝国信用録』(原本は帝国興信所刊)第1版復刻版刊行に寄せて」を掲げました。それらの資料をみるはこちら
http://www.crosscull.com/files/20240913202926.pdf
http://www.crosscull.com/files/20250502123911.pdf
http://www.crosscull.com/files/20250502124739.pdf